■ケーススタディその7
店舗付住宅(連棟長屋)
木造瓦葺 2階建 5K
建物面積 約100平米(約30坪)
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空き家になってしばらく誰の出入りもない、とある京町家風な建物がありました。
今回のオーナー様のお母様が、生前に旅館兼住居として使用されていた築不詳の連棟長屋ですが、オーナー様が数年前に相続をされ、そのままの状態で今日まで空き家となっていました。
オーナー様のご希望としては、この古家を何とか有効利用できないかとの事。
ただ思い出があるこの建物の雰囲気(外観・内観等)を出来ればこのままの状態で失わず、残してほしいとの事でした。
躯体等はしっかりしているようには見えましたが、床は若干傾き、増築・改築したであろう跡が何箇所にもありました。
建物内には中庭(坪庭)があり、旅館の名残か稲荷の社もありました。
今まで町家に触れる機会はありましたが、この年月を経てきた家の持つ深く、奥ゆかしい独特の雰囲気、すばらしさに圧倒されました。
何か面白い事(仕事)が出来るのではないかと想像させられるような物件でした。
しかし現実は築不詳の為、雨漏り・シロアリ・躯体関係など、どのような状態になっているのかも分かりません。賃貸するにあたっての修繕工事(オーナー様負担の躯体設備工事)の費用も不鮮明でリスク(不安)も大きいものでした。
昨今の町家ブームもあり、早々に飲食店の出店希望者も現れました。
契約条件も折り合いがつき、詳細内容の打合せに入りましたが、蓋を開けてみれば、建物の屋根からは雨漏り、躯体においてはシロアリの被害に遭い、柱の何本かは根元が腐食して基礎から浮いており、壁でようやくもっているような状況でした。
借主テナント様側の内装工事(インフラ設備の変更工事、改装・間取り変更)に伴なって、躯体の修繕工事もついでという事で、いくらかテナント様側のご厚意にて工事負担頂けることになり、予定していたオーナー様側での工事の費用も予定よりかなり下回りました。
借主テナント様側も契約時の保証金を調整する等して、快く工事頂き、結果、貸主・借主共に満足(納得)のいく契約条件となりました。
両者の協力により、オーナー様のご希望であった建物の保存と有効活用は成功し、借主様にも満足のいく契約(出店)ができたと喜びの声を頂くことができました。
オーナー様の希望もあり、15年の定期借家契約で契約。現在も盛業中です。